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お金は借りたい!でも、税金は払いたくない!

 事業を始める、又は、拡大するのにはまとまった運転資金が必要ですので、資金は多ければ多いほど良い。これは事業を行っている方共通の考えです。

 また上記の考えに沿っていくと、運転資金を減らしてしまう税金負担は、より少なければ少ないほど良い。これもまた、事業を行っている方共通の考えです。

 当税理士事務所においても全く同様の考えに基づいて、お客様のステージに見合った各種の節税プランを比較検討し、その時々に最適なプランを実行に移しています。

 さて、ここからがこの項目の本題です。

 運転資金は借入でまかなって、税金を減らす又は無くすことは可能なのかどうかについて検証してみたいと思います。

運転資金の借入と返済

 関与先のお客様すべてについて、基本サービスの一環として資金調達のアドバイザリー役を勤めさせて頂いておりますので、運転資金の借入自体は、適正な事業計画、利用目的さえしっかりしていれば、調達金額の大小はありますが、調達自体は問題ではありません。

 重要なのは、借入を実行した後のその運用先と、返済計画です。

 簡易的な事例として、借入資金1,000万円、金利年3%、返済期間3年、据置期間なし、元利均等返済を例に挙げて検証をしてみます。今後の返済スケジュールは以下の通りです。

資金借入返済表

 上記事例の返済表を見ると、借入金1,000万に対して3年間で支払う利息合計は僅か469,700円ですので、机上の計算では無理なく返済が出来そうです。

 同じように考えられた方は、ちょっと待って下さい!!

 借入金の運用先と金額次第では、追加融資をすぐにでも検討しなければならない事態が既に発生しています。

運転資金の運用先と回収方法

 運転資金の投資先は、返済計画を組む上でとても重要になることを先ほど述べましたが、これに税金計算が加わると返済計画は容易ではありません。

 まず、運用先が商品など直接的に利益を生むものだけの場合には、必ず下記の算式が成立すれば税金負担を考えても返済計画はスムーズにいきます。

 投資金額+利益=回収金額 > 借入金額+支払利息

 しかし実際の運用先はどうでしょうか?返済計画を滞らせる要因として、一例になりますが以下のようなリスクを検討しなければなりません。

  1. 投資した仕入商品が右から左へとすべて完売すれば良いのですが、一般的には在庫を抱えるリスクがある。
  2. 人件費などの管理部門へ投資をした場合、それ自体利益が発生せず、また元本も回収出来ないことの方が多いリスクがある。
  3. 製造設備や店舗改装費用などの減価償却資産へ投資をした場合、間接的には利益を発生させるが、投資費用そのものの回収は長期化するリスクがある。
  4. 敷金、保証金、有価証券、土地などの権利資産へ投資をした場合、上記同様に間接利益は発生させますが、処分をしない限り換金性=投資の回収が出来ないリスクがある
  5. 返済原資に充てる利益には、常に税金負担が付いてまわるリスクがある。

 継続的な事業を行っていくためには、投資に対して、返済に充てる元本と利息の他に、ご自分や従業員への給料、事業の維持管理費用までの回収を計画しなければなりません。1,000万円の投資に対して1,050万円の回収ではとても事業としては成り立ちません。

返済元本と税金計算との関係

 借入金それ自体は売上にならないように、返済する元本も当然経費とはなりません。何を当たり前のことを・・・と思われる方が大半かと思いますが、税金計算をしていく上ではこの考えが改めて重要になります。

 当税理士事務所ではお客様に対して常日頃、借入金は会社が将来獲得する税引後利益を前借りしている状態とご注進申し上げています。

 5年間で1,000万円の返済をしなければならない場合、税引後の利益も同様に1,000万円無ければ返済が出来ません。では、税引前では幾ら必要になるでしょうか?

 法人に対する実行税率(法人、法人住民税・事業税を合わせたもの)を43%とした場合には、約1,760万円(57%で割り戻し)の利益を稼ぎ出して初めて元本が返済できるようになります。

 投資効率を考えた場合には、1,760万円から更に給与や維持経費などを加味して投資判断を行わなければなりませんし、経費の中には、税金計算において費用となるものと、費用とはならないものとがありますので、費用とはならない経費分については税金負担分まで考慮しなければなりません。

 節税対策の大半は資金を必要とするものが多いと別ページにて述べていますが、税金をなるべく支払わないようにする=資金をより多く消費することは、内部留保の蓄積された無借金経営の状況では率先してご提案をさせて頂くべき事案なのですが、上記のように借入金のある状況では、返済計画とのバランスを考え過度な節税対策を行うべきではないのです。

借入と節税との関係

 まとめになりますが、ここで借入と節税との相関関係を考えてみたいと思います。

 借入金は将来の税引後利益に対する前借りであると先ほど述べました。借入金は少なければ少ないほど良いとの考え方に基づいて行動するようになると、相当額の税金負担を覚悟しなければなりません。

 税金負担は少なければ少ないほど良いとの考え方に基づいて行動するようになると、借入金は減らないどころか徐々に増えていきます。この場合、金融機関が会社で必要とする分だけの資金を融資し続けてくれている間は事業が回りますが、融資が一度でもストップするようになると突然事業が厳しくなります。

 不況下の現在、金融機関の融資査定は担保主義からキャッシュフロー主義へと変わっています。そのような状況で融資が止まる又は延期されるような場合は、キャッシュフロー=将来収益力が弱まっている時ですので、元本の返済=税金負担後の利益を上げることは非常に厳しいものとなります。

 このような状況になってから、経費を極限にまで切り詰めて現金=利益を残そうとしても、その半分近くは税金へと消えてしまいます。

 税金負担は少なければ少ない程良い。誰しもその通りなのですが、借入金のある会社と、自己資金のみの会社とでは検討する節税手法が全く異なるのです。

 最初に述べたように、当税理士事務所では、お客様のステージに見合った各種の節税プランを比較検討し、その時々に最適なプランを実行に移しています。

 短期的な節税効果だけに囚われるのでなく、物ごとを大局的に捉えて、お客様の資産形成をともに実現できれば幸いに存じます。

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